「コンピューターやスマートフォンを安全に使用し続けるためには、OSやアプリを定期的にアップデートすることが非常に重要です」と、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。一方で、なぜ定期的なアップデートが重要なのか、その理由はよくわかっていない、という人もいるかと思います。そこで今回は改めてアップデートの重要性についてまとめてみました。
アップデートの重要性① セキュリティの強化
OS※やアプリ(ソフトウェア)には、「脆弱性(ぜいじゃくせい)=弱点」が存在する可能性があります。
攻撃者は、常にOSやアプリの脆弱性を探し、付け入ろうと模索しています。そのため、開発者側は自らが開発したOSやアプリの提供後でも脆弱性が確認された場合に、それを修正するためのセキュリティアップデートを提供し、攻撃されないように改善します。
定期的にアップデートを実施し、脆弱性を修正することは、攻撃者からのサイバー攻撃(不正アクセスやマルウェア感染)を防ぐための基本的な、かつ重要な対策になります。
※OS(オーエス/オペレーティングシステム)とは……
パソコンやスマートフォンを動かすための土台となるプログラムです。たとえばWindowsやiOSなどがそれにあたります。OSがあるから、画面を表示したり文字を打ったり、アプリを使ったり、外部の機器を接続して利用できるようになるのです。OSがなければ、パソコンやスマートフォンは動かせません。
アップデートの重要性② 新機能の追加・機能の改善
アップデートには、新しい便利な機能や性能向上が含まれることがあります。これにより、より快適に(効率的に)作業ができるようになります。
また、データ保護のための暗号化技術や、新しいマルウェア(コンピューターウイルス)は日々進化しているため、アップデートによって、より強力で安全な暗号化方法が導入されたり、新しいマルウェアへの防御が実装されたりすることもあります。
アップデートの重要性③ 互換性の確保
古いバージョンのままアプリ(ソフト)を使い続ける場合、新しいパソコンやスマートフォン(OS)に対応していなかったり、他のアプリや機器との互換性が失われたりする可能性があります。アップデートを行うことで、システム全体がスムーズに動作するようになります。
アップデートを行わなかった場合のリスク
アップデートを定期的に行わないことには、次のようなリスクがあります。
- セキュリティの弱体化:
脆弱性が放置され、そこを攻撃者に付けこまれてしまい、マルウェア感染による端末の乗っ取りや情報漏えいなどが発生する恐れがあります。 - 故障・不具合の発生:
古いOSやアプリを使い続けると、端末やアプリが正しく動作しなくなり、データが破損、または喪失するリスクが高くなります。 - 法または契約上の責任問題:
特に企業や組織の場合、秘密情報・個人情報の保護が法律や契約で義務付けられていることがあります。アップデートを実施しないことは、不適切な管理とみなされ、問題が発生した場合に責任を問われる可能性があります。特に、個人情報保護法や委託契約に基づく管理義務違反が指摘されるケースもあります。
具体的なアップデートの例
- Windows Update:
Microsoftが定期的に提供するWindowsのアップデート。これには、脆弱性の修正、保護機能の強化、新しい技術の導入などが含まれます。日本では毎月第2または第3水曜日に定期アップデートが配信されます。業務上のよほどの事情がない限りは、配信にあわせて定期的に(可能であれば自動で)アップデートしましょう。 - スマートフォンのOSアップデート:
AppleのiOSやGoogleのAndroidでは、セキュリティ強化やバグ修正を目的としたアップデートが定期的にリリースされます。ただし、設定によっては自動的にアップデートが実施されない場合があります。アップデートの通知を確認し、できる限り速やかにアップデートを実施しましょう。 - ブラウザのアップデート:
Google ChromeやMicrosoft EdgeなどのWebブラウザも、セキュリティ上の脆弱性を修正するためのアップデートを定期的に行います。ブラウザの起動時に自動的にアップデートが適用される場合が多いですが、そうでない場合はブラウザの「設定」などから実施しましょう(Chromeの場合:「ヘルプ」の「Google Chromeについて」を開くとアップデートが実行されます)。 - セキュリティソフトのアップデート:
基本的には自動でアップデートが実行されます。特にパッチ(マルウェア情報の更新など)は数時間おきなど1日のうちでも何度かアップデートが実行される場合もあります(ソフトの機能によります)。ただし、セキュリティソフトのバージョンアップ(アップデートよりも多くの機能改善などが含まれる)の場合は手動での実行が必要な場合があります。 - その他アプリケーションのアップデート:
LINEなどのチャットアプリ、WordやExcelなどのOfficeアプリ、その他各種アプリも、定期的にアップデートが提供されます。特にOfficeアプリやPDF編集・閲覧アプリなどの脆弱性は、メールやWebサイト経由で不正なファイルを開かせ、マルウェアに感染させる攻撃によく利用されるので、定期的なアップデートが重要です。ただし、無料のアプリなど、アップデートが提供されないものもあるため、導入・利用時に確認しておきましょう。
まとめ
OSやアプリのアップデートは、データ保護のために「盾」となる役割を果たしています。アップデートを怠り、古くなった(丈夫ではなくなった)盾を使い続けてしまうと、攻撃を防ぎきれず、個人や企業の重要な情報が危険にさらされてしまう可能性が高くなります。
「面倒だから」「時間がないから」と後回しにするのではなく、OSやアプリのアップデートは自社(自分自身)や取引先(友人知人)を守るための重要な予防策であることを認識し、定期的にアップデートを実施しましょう。
ただし、販売開始から一定期間経過したOSやアプリでは、アップデートの提供が終了してしまうことがあります。アップデート提供が終了してしまうと、それ以降に新たな脆弱性が見つかっても、一切改善されなくなってしまいます。そうなる前に、端末やアプリ(ソフトウェア)を定期的に更新・買い替えていくことも計画しておきましょう。