インフォぷりんVol.173『今さら聞けない?データバックアップの基本と重要性』

業務データ(顧客情報、受発注、設計資料、会計データなど)は企業の重要な「資産」です。そんな資産が使えなくなると、業務停止や信用失墜、復旧コストの増大につながります。そんなリスクを回避・低減するために、「データのバックアップ管理」は必要不可欠です。

免責事項:本記事はあくまでも一般的な情報の提供を目的としております。最終的な判断は自社の環境・方針に応じて行ってください。

目次

なぜバックアップが重要なのか

バックアップの目的は、単にデータのコピーを作ることではありません。トラブル発生時に業務を元の状態に戻し、継続できることが最大の目的です。

想定すべき主なトラブル(リスク)には次のようなものがあります。

  • PC・サーバー・NASの故障
  • ランサムウェアなどのサイバー攻撃
  • 誤操作による削除・上書き(必要なデータの喪失)
  • 火災・水害などの災害

これらのトラブルは「いつか起きるかも」ではなく、「いつ起きてもおかしくない」ものとして考えておくべきです。

バックアップ方法の種類

データをバックアップする場合、通常は元データとは別の保存先にコピーして保管します。バックアップの取り方にはいくつか種類がありますが、本記事では代表的な2つとして「フルバックアップ」「差分バックアップ」を紹介します。

フルバックアップ差分バックアップ
コピー対象実施時点の全データ直近のフルバックアップ以降に変更・追加されたデータ
運用イメージ初回、または週1・月1などを基準にフルバックアップを取得する毎日(日次)など普段のバックアップで取得する(自動バックアップ機能など)
バックアップにかかる時間・必要な容量データが多ければ実施時間は長く、保存先の容量も大きくなる差分のみなので比較的短時間で容量も節約できるが、保管する世代数が多いと保存先の容量は大きくなる

NASやクラウドの自動バックアップ機能を使う場合、初回にフルバックアップを取り、その後は変更分だけ(差分)を、設定した世代数分保存(上限を超えた場合は古い世代から削除)する運用が一般的です。

世代管理が重要な理由

世代とは「何日前(何回前)の状態まで戻せるか」の目安です。例えば「毎日実行で7世代保管」なら、概ね直近1週間分の復元ポイントが確保できます。直近の1つだけあれば十分では?と思うかもしれませんが、例えば、次のような場合、直近のバックアップのみでは正常に復元(復旧)できない場合もあります。

  • 誤削除や誤上書きに数日間気が付かず、誤削除(誤上書き)された状態でバックアップされた(本当に必要な状態のデータがバックアップされていない)
  • ランサムウェアなどに感染後、数日してから異常に気付くケースがある(バックアップデータも感染・暗号化されて使えなくなっている)
  • いつからおかしくなったか、遡って復元する必要がある(直近データからでは正常に復元できない)

保存先メディアの種類と特徴(3-2-1バックアップルール)

バックアップでは、保存先メディアの選び方と組み合わせが重要です。 主な保存先には次のようなものがあります。

保存先メディア主なメリット主なデメリット
クラウド●拠点外保管ができ災害やマルウェア感染に強い
●ネット環境があればどこからでもアクセス可能
●回線・アカウント障害時に復旧が遅れる
●不正アクセスによる漏洩リスク
●利用する限り料金が発生
外付けHDD・SSD●比較的大容量 ・操作(復元)しやすい
●比較的安価で初期費用のみで導入できる
●故障・盗難リスク
●常時保存元に接続していると同時にマルウェア感染するリスク
●定期的に買い替えが必要(通常5年程度)
NAS●自動化・共有管理がしやすい
●初期費用のみでの運用も可能
●同一ネットワーク内管理だと同時にマルウェア感染するリスク
●故障リスク
●定期的に買い替えが必要(通常5年程度)
DVD-R/CD-R●オフライン保管しやすく改変されにくい
●安価
●容量が小さく管理が手間 ・破損・紛失・不正持ち出しリスク
●読み込めるドライブが必要
USBメモリ●手軽で持ち運びやすい
●電源不要でデータを取り出しやすい
●安価
●紛失・盗難リスクが高い
●マルウェア混入リスクが高い
●読み書き回数に上限があり、長期間の利用には不向き

それぞれの媒体のデメリットやリスクを低減させつつ、バックアップを運用するために、「3-2-1バックアップルール」が推奨されています。

  • 元データ+バックアップ2つで合計3つのデータを持つ
  • 2種類以上の媒体に分ける
  • 1つは拠点外またはオフラインに置く

よくあるバックアップの誤解

  1. 「サーバーに保存している=バックアップ」という勘違いサーバー障害や同一ネットワーク内でランサムウェア感染が発生した場合などではサーバーも被害にあいます。
  2. 「RAIDがある=バックアップ」という勘違いRAID(サーバーやNASの複数のHDDにデータが保存される仕組み)はディスク故障対策であり、誤削除や暗号化からは守れません。
  3. 「自動設定したから確認不要」保存先の容量不足、故障、停電などにより、正常にバックアップが取れていない可能性があります。
  4. 「クラウドに保存していればバックアップは不要」通信障害や停電、誤削除、アカウント乗っ取り、同期削除、クラウド提供者側のトラブルなども起こり得ます。また、トラブルが起きても、こちらの望むタイミングではデータを取り出せない場合もあります。

まとめ

バックアップは単なる「作業」ではなく、業務を止めないため(BCP)の基本対策です。

組織内で運用ルールを決めて、適切に管理することでバックアップの実効性は大きく向上します。運用管理に際しては、特に次のことに注意しましょう。

  • 同一ネットワーク上だけで管理しない
  • 同一媒体内だけで管理しない
  • バックアップは定期的に実施する
  • 複数世代分を管理する
  • 保存先を分散し、拠点外/オフラインにも保管する
  • アクセス権限は最小限にする
  • バックアップ保存先は通常の利用者から削除・変更できない権限設定にしておく
  • 定期的に復元できるか確認する

※同一ネットワーク上のPC、サーバー、NAS、それらに接続された外付けHDDなどは、どれか一つがマルウェアに感染した場合、感染した端末だけでなく、同一ネットワーク上のすべての端末が感染してしまい、原本データとバックアップが同時に使えなくなる恐れがあります。

(おまけ)個人のスマホ・PCも定期的にバックアップを

個人のスマホや私物のPCなどにも、写真、連絡先、趣味のデータなど、失っては困るデータが多数保存されています。業務データ同様、クラウド+ローカル(外付けHDDやDVD-R)など、最低限のバックアップは定期的に行う習慣を持っておきましょう。

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