Googleの2026年7月30日から適用される利用規約に、Googleの各種サービス(生成AIを含む)について、「医学・法律・財務その他の分野に関する専門的な助言としては利用しないでください」という趣旨の免責事項が、これまでより具体的に記載されるようになりました。
この変更は直接的には法的な責任範囲を明確にするためのものですが、見方を変えれば「AIの回答やネット上の情報は正しい」と思い込んでしまう利用者への注意喚起とも捉えられます。では、AIを利用する際、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案に対する助言を行うものではありません。AIサービスの仕様や規約は変更される可能性があるため、実務対応の際は最新の公式情報等をご確認のうえ、専門家にご相談ください。
人はなぜAIを信じてしまうのか
AIは人からの指示(質問)に対して、流暢な文章を生成して返答しますが、その仕組みは「正しい知識を持っている」のではなく、大量のデータをもとに「次にくる言葉として自然なものを予測している」というものです。そのため、もっともらしい返答であっても、必ずしも内容が正確とは限りません。
それでも、「大量のデータ解析」に裏打ちされた「自信ありげな回答(表現)」によって、人はその情報は正しいものだ、と認識してしまいやすくなります。さらに、AIは誤った内容であっても、断定的で淀みない口調で答えるため、人間はその「話し方」自体を信頼の根拠にしてしまいがちです。
だからこそ、AIの回答は参考情報として活用しつつ、重要な判断の前には自分で事実確認を行う習慣が欠かせません(必要に応じて専門家にも相談しましょう)。
AIだって間違えることはある
では、具体的にAIはどのような間違え方をするのでしょうか。
AIは、事実と異なることや、古い情報を、まるで正確かつ最新の情報であるかのように回答してしまうことがあります。例えば、次のようなケースです。
- 実在しない判例・法律・データの引用:実在しない判例や条文、統計データなどを「ある」ものとして、それに基づいたかのような回答を返すことがあります。
- 古い情報の引用:AIの知識は必ずしも最新とは限りません。そのため、現在では間違っている古い情報を「正しい情報」として返答してしまうことがあります。
- 曖昧な質問に対して「それらしい答え」を作る:質問や指示が曖昧であっても、AIは「わかりません」と言わずに何らかの回答を生成しようとする傾向があります。その結果、間違った内容や質問者の意図とは異なる回答が返ってくることがあります。
AIは「知らない」「わからない」と言うのが苦手です。だからこそ、返ってきた回答を「正しいはず」と思い込まず、重要な情報は必ず別途(自ら)確認する習慣が大切です。
AIへの過信が招く具体的なリスク
では、こうした間違いに気づかずに利用を続けると、どのようなリスクがあるのでしょうか。
取引先に提出するための提案書、契約書、報告書などに、法律の誤解釈・間違った数字・存在しない固有名詞などを含んだまま取引先に提出してしまうとトラブルになる可能性があります。
「こんな事が起きたけど問題ないか」などの質問に対し、AIが問題なしと答えた場合でも、なりすましメールやマルウェア感染の可能性があります。AIの判断を過信して対応や報告が遅れると、被害が大きくなるリスクがあります。
採用判断・経営上の判断・医療相談など重要な決定をAIの回答のみで行うと、誤った判断をしてしまう可能性があります。AIは「確率的に自然な答え」を返すに過ぎません。
AIに依存すると、「考える力」「書く力」「人間関係でのトラブル対処能力」などが育ちにくくなります。これは子どもだけでなく、大人にも該当します。
AI依存・過信を防ぐための心がけ
AIを過信して誤った判断・行動をしないためには、個人であっても利用・業務利用であっても、また、大人でも子どもでも、以下のようなことを意識して利用することが重要です。
- AIの回答は「参考意見のひとつ」として扱い、重要な判断は必ず別の情報源や人間の専門家の意見も参照する
- 特に数字・固有名詞・法律・最新情報については、信用できる情報源(公式サイトなどの一次情報)で必ず確認する
- AI生成の文書・メール・SNS投稿などは、送信・公開前に人間が必ず内容を確認・承認するフローを設ける
- 「AIが肯定してくれた=正しい」という思い込みを持たず、自分自身の批判的思考を維持し、また、人からの批判・アドバイスも受け入れる
- 子どもにAIを使わせる際は、「答えを出してもらうツール」ではなく「一緒に考えるツール」として活用するよう導く
- 悩みや感情面のサポートはまず身近な人間に相談する。AIへの感情的依存には注意する
まとめ
AIは業務効率化や学習支援など、私たちの生活を豊かにする可能性を持つ一方、依存することのリスクや、AIを過信することで生じるリスクも生み出しています。
また、AIは私たちにとって、「良きアドバイザー」「優秀なアシスタント」になり得ますが、私たちのことを真剣に考えて、私たちのためを思って助言してくれる「家族」や「親友」ではありません。
AIを使いこなすためには、「AIを信用しすぎない力」を育てることが重要とも言えます。









