インフォぷりんVol.165『外部サービスの利用規約は定期的に確認しましょう!』

SNS・クラウド・チャット・動画配信・生成AIなどのサービスは、日常生活や業務において重要な役割を果たしています。それらのサービスを利用するためには「利用規約」を守る必要がありますが、利用規約は定期的に(または必要に応じて)改定されていることを見落としていませんか?改定の内容によっては業務に支障を及ぼす可能性があるため、適切に対処することが必要です。


目次

そもそも利用規約とは?

利用規約は、安心かつ継続的にサービスを使えるようにするための「ルールブック」です。例えば次のような目的のために利用規約は定められます。

  • 安全を守るため(危険・迷惑行為の防止)
  • 責任を明確にするため(誰がどのような責任を有するのかをはっきりさせておく)
  • 権利を守るため(ユーザー、提供者などの権利と、権利が侵害された場合の対応)

サービスの利用者は、規約で認められる利用範囲を守って利用することになります。

なぜ利用規約は改定されるのか

利用規約は例えば次のような場合に、必要に応じて改定されます。

  • 法規制の変更時:新しい法律ができたり、既存の法律が変わったりする場合、法規制に適合するように利用規約は改定されます。日本国内の法律だけでなく、欧米などの法規制の影響による改定もあります。
  • サービス・機能の変更や追加:サービス内容や機能の追加、セキュリティ対策の強化、技術的な変更がある場合、それに合わせて規約が改定されます。
  • ユーザーの声への対応:利用者からの意見やフィードバックを受けて規約が改定されることもあります。

利用者が安心・安全に、かつ継続的にサービスを利用できるために、提供者はルールを見直している、ということです。

利用者にとって不利益になり得る改定が含まれることもある

ただし、中には利用者にとって不利益をもたらす可能性のある改定がなされることもあります。例えば、次のような改定がある場合、内容をよく確認しておきましょう。

  • データ取り扱い範囲の変更:サービスが収集する利用者の情報(位置情報、個人情報など)の追加や変更、または収集した情報の第三者提供の有無や提供者の変更など。
  • 料金体系の変更:無料サービスの有料化、既存料金プランの値上げなど。
  • サービス内容の制限:利用可能な機能が制限される(または削除される)、サービス利用可能範囲の変更(商用利用可だったものが商用利用禁止に変更)など。
  • 免責条項の変更:損害やトラブル発生時の利用者の責任範囲拡大変更など。

特にここ数年、「AIへの情報利用範囲について(利用者が投稿したテキスト・画像などをAI学習に利用する)」や「プライバシーと匿名化データの保護・利用について(個人を特定できないように加工したデータの利用など)」「地域・国別の規制への対応(各国の法規制への対応)」などが実施されるケースが増えているようです。

業務で利用するサービスの場合、利用規約の改定は、自社のみならず取引先などにも影響が及ぶ可能性があります。気になる点があれば、サービス提供者に問い合わせるか、必要に応じて利用を見直すことも検討しましょう。

利用規約改定への具体的な対策

各種サービスの利用規約改定の内容やタイミングについては、利用者側ではコントロールすることができません。規約が改定されることによって、業務内容や取引先・お客様に影響が及んでしまわないように、次のようなことを実施しましょう。

サービス利用状況を管理する誰が(どの部署が)どんなサービスを利用しているのか、サービスごとの契約情報を管理し、規約改定の有無などを参照できるようにしておきましょう。
利用規約を定期的に確認するサービス利用開始時だけでなく、定期的に利用規約やプライバシーポリシーを確認しましょう。改定内容について不明点があればサービス提供者に問い合わせて確認しましょう。
公式情報源を利用する改定情報は公式Webサイトや公式メールを通じて確認しましょう。くれぐれも偽の(なりすましの)メール通知にだまされて偽サイトにアクセスしないように注意しましょう。また、ネット上の不確かな情報や誤った解釈に惑わされないように注意しましょう。
リスクアセスメントを実施する規約改定にあわせて、そのサービスを利用することが業務に与えるリスクを評価し、必要であれば社内ルールを見直しましょう。重大なリスクが伴う場合、サービスの利用停止や代替サービスを検討しましょう。
設定を定期的に確認するサービスの仕様や機能変更により、意図しない設定に変わってしまう場合もあります。規約改定とあわせて、定期的にサービスの設定も確認しましょう。
個人情報を適切に管理するサービスへの登録時には業務上必要最小限の情報のみを登録するようにしましょう。また、サービス利用に関わるデータがどこに(どの国に)保管されているのかも規約で確認しておきましょう。特に自社サービスの会員情報などをクラウドに保管している場合で、保管サーバーが変更される旨の改定がある場合は自社のプライバシーポリシーや規約の見直しが必要になる可能性があります。
社員教育・研修を実施する規約の改定内容が業務や取引先に影響する場合、従業員に対して通知し、対応策を共有しましょう。また、定期的に情報セキュリティ教育を実施し、情報管理意識を高めることも大切です。

まとめ

利用規約の改定は、ユーザー体験の向上や法的リスクの軽減を目的としていますが、同時にユーザーが自分のデータがどのように利用されるかを理解し、適切に対応する必要性も高まっています。その重要性を理解し、適切に対応することでリスクを最小化しましょう。

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